群青の月
「ご馳走様。じゃ」


不意に淡々と短く切り出した柚葉は、どこか性急(セイキュウ)にバッグを持って立ち上がった。


「ちょっ、待てって!」


俺はさっさと歩き出した柚葉の後を追い、慌てて彼女の手首を掴んだ。


「……何?」


振り返った柚葉は、面倒臭そうな表情をしていたけど、気付かない振りをして笑顔を貼り付ける。


「あのさ、もうちょっとだけ付き合ってよ」


「……どこに?」


「気持ちよくなれるとこ」


欝陶しそうに訊いた柚葉に、ニカッと笑って見せた――…。


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