群青の月
驚きを隠せずにいるあたしに、気味が悪いくらい余裕の笑顔を向ける畑野。


冬夜は、あたしが体を売っていた事を知っている。


だから今更、“バラす”も何も無い。


だけど…


問題は、“どうしてこの男がその事を知っているのか”って事…。


考える間も無く浮かぶ答えは、“あたしが過去に体を売った”と言う事で…。


襲い掛かって来る不安に唇が震えそうになるのを堪えながら、必死で平常心を保とうとしていた。


“もしかしたら体を売った相手じゃないかもしれない”なんて、砂粒よりも小さな期待を心の奥底で抱きながら…。


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