群青の月
「マジ……?」


視界の端に映る冬夜は、目を大きく見開いた後で失敗したと言わんばかりに顔をしかめ、大きなため息をついた。


今日は、本当に散々な日だ。


めでたくは無いとは言え、二十歳の誕生日なのに初対面の男に振り回されて…


勝手な解釈をされてこんな所にまで付き合わされるなんて、もうどう考えても厄日(ヤクビ)だとしか思えない。


だけど…


清々しい程の青空も初めて見る朝の月も、今日は何だか悪くないと思える。


そんな事を考えていたあたしの口元からは、いつの間にかほんの少しだけ力が抜けていた――…。


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