群青の月
アパートに着いたあたしは、部屋に行く前に建物の裏側に向かった。


そこはちょうど、あたしが住んでいる角部屋の隣に当たる場所。


「アンッ!」


あたしの姿を見た瞬間、段ボール箱の中から顔を出した真っ白な犬。


「シーッ!静かにしなきゃダメだって。バレたらここにいられなくなるよ」


人差し指を口元に当てながら、その愛らしい顔に微笑みを向ける。


「クゥ〜ン……」


それを理解しているのかいないのか、小さな犬はションボリとしたように鳴いた。


その姿が愛らしくて、思わず笑みを零していた。


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