群青の月
メモを受け取って、そこに書いてある住所をまじまじと見る。


「柚ちゃんがあなたといるとつらいのはね……」


顔を上げると、吉岡さんが微笑んでいた。


「あなたの事を傷付けてしまうから、なんですって」


その言葉が、俺の心を優しく包み込んでいく。


柚葉は、俺の事を想って……


嫌われた訳じゃないんだとわかった途端、柚葉がいなくなってからずっと抱いていた苦しみが和らいだ。


「バカだな……」


強がってばかりで、自分の事よりも俺なんかの事を大切にしようとした彼女を、ただただ愛おしく思った。


< 904 / 1,000 >

この作品をシェア

pagetop