群青の月
「……そんな事、いちいち言わないでよ」


ぶっきらぼうな態度すら愛おしくて、その体を腕の中に閉じ込める。


そのまま額にキスを落とせば、柚葉は照れ臭さを隠すように目を伏せた。


「とりあえず、行くか」


今度は髪にキスをしてから促すと、彼女がまだ少しだけ頬を赤らめたまま頷いた後、トーフを抱き直して玄関の鍵を締めた。


目を細めてトーフを見る柚葉にも、嬉しそうに尻尾を振り続けているトーフにも、何だか小さな悔しさが込み上げて来る。


俺が出来る方法でトーフに対抗しようと、彼女の空いた方の手を握った。


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