13回目の好き








だって…緊張するんだもん。




広い大学内。


1号館、2号館…と建物ごとに教室が別れている。



空を見上げると、母校の屋上で見上げたあの空を思い出す。




中沢さん:「奈緒ちゃんは教師になるのかぁ〜。」



ふとそんな事を言う中沢さんに慌てて口を開く。


「い!?いえ!教師は無理です!…ただ、教員免許だけでも取っておこうかなって…。」


中沢さん:「そうなのかい?てっきり、高木君の後を追って教師になるのかと思ったよ!ははは(笑)」


カァッと熱くなる頬を抑えて中沢さんの笑い声につられて口元が緩む。


「っ!もう!中沢さんっ!」


そんな私を笑いながら、中沢さんは次の授業の講義があるらしく、「また、成雪君の家に行くよ」と言って行ってしまった。



成雪君とは、私の父のこと。



お父さんは緒方会社の社長を勤めてもう25年も経つ。

お姉ちゃんは、病院に勤める女医。結婚して旦那さんと暮らしてる。


お母さんは私が14歳の時亡くなった。




私は、高校時代そんな家族のプレッシャーに押されていたけど、



恭先生に出会って、考え方が変わったの。


< 17 / 266 >

この作品をシェア

pagetop