13回目の好き

13回目






通い慣れた廊下を進むと、いつもそこに化学準備室が見える。



その度に


今日は放課後三浦先生に会いに行こうっとか


帰り際に、何度も見つめて今もいるのかなって思っていたっけ。



学校の中はしんとして…



賑やかだった私達の教室も廊下も、皆帰っちゃったから凄く静か。


先生達は職員室なのかな?



私の歩く足音だけが、寂しく廊下に響く。




化学準備室のドアの前に着く。





もう三浦先生はいないかもしれない。




でも、開けなきゃ分からない。







何でかな









今頃になって分かってきたよ。




抑え切れない涙が、溢れ出て、何度も何度も拭う。




私は…卒業しちゃったんだ…。




グスッと、鼻をすって


ガチャッと、準備室のドアを開けた。














いた―…。







「…み、三浦先生…。」






いつもの椅子に腰掛けていた三浦先生は、私の方へゆっくり視線を向ける。



目が合い、ジッと見詰める三浦先生にドキッとする。







三浦先生:「…遅い。」











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