13回目の好き
恭先生:「…ん?」
私の強がりな笑顔を見て、優しく微笑みながら、恭先生は聞き返した。
「…生徒に、嫌われちゃいました…。ひとりでも嫌な思いさせちゃうなんて、教師、本当にむいてないですよね、私…。」
塾なんて、…先生に向いてなきゃ、教えることさえ、情けなくなってきて…
恭先生:「ははは!生徒に嫌われるなんてしょっちゅうさ。大丈夫だ。教師に向いてるかどうかなんて、実際、関係ない。教師という仕事が好きならそれでいい。」
恭先生はそうやっていつも、私の悩みを聞いて、笑って、気持ちを軽くしてくれる。
恭先生:「…生徒なんてな、それぞれいるんだ。それぞれの受け取り方があって、嫌われるも好かれるもあって当然なんだ。俺らは、人間だろう?器用に生きていけないものだ…。」
「……………うん。」
ソッと私は先生の身体から離され見上げると、優しく、どこか無邪気な恭先生の笑顔が、ソッと口を開く。
恭先生:「まぁ、最後の言葉は、安西先生からの言葉だけどな!」
そんな風に笑って言う恭先生に思わずフフッと笑ってしまう。