歳の差レンアイ、似た者同士。

いつもの場所で

***

「ばっかじゃねーの!?そんなの自分でやりゃいいじゃん!」

真夜中のファミレス。

げんなりするオレの前には、真っ白な夏休みの宿題と彼女。

事の始まりは3日前。



__宿題が全然進まなくて…

__教えてやってもいいぞ?



医大生のころ家庭教師のバイトしてたから、そういうのには慣れてる。

わからないところを教えるくらいならできる。

だから軽く言ってみた。

そしたら、教えるどころか、全部おまかせな態度!?

「あのさぁ、これはキミの将来のためでもある…」

バイト時代にも言ったセリフ。

「なんで人生に役に立たないような勉強をしなければならないか?それは、努力と忍耐を学ぶためだ。自分でやりなさい」

「なにそれ。金八先生?」

オレ、完全に利用されてる?

すっげー年下の女に転がされてる?

「だってさあ、先生って医学部入るくらいだから勉強できたんでしょ?」

「自慢じゃないけど、できるほうだと思うよ」

「自慢じゃん」

「自慢だな」

「ほらぁ~!」

楽しそうに笑ってる彼女を見ると、なんだかホッとする。

自分から告った手前、デートらしいデートなんてできるわけもなく、いつものコンビニで落ち合って話するくらい。

メールも1日2通が限度。

そんなので『付き合う』とか、無理な話だとは思うけど…

「先生ってさ、下の名前“秀介”でしょ?」

「なんで知ってんの?」

「名札に書いてあった」

そういうところ見てたんだな…。

女の子って、けっこう細かいところまで見てて、しかも覚えてるからスゴイ。

男にはない才能だと思う。

< 53 / 79 >

この作品をシェア

pagetop