秀才くんに教えてあげる
『要兄、もう少し余裕見せたら?相手は勉強だけしてきた男だよ?女子からもモテてスポーツも出来る要兄に勝てると思う?』
今だにケラケラと笑う晴くん
要は前言った通り、女子から絶大な人気がある
もちろん顔だけがいいんじゃなくて、スポーツも出来る
部活には入ってないけど……時々いろんな部活の助っ人として呼ばれてるみたいだし……
何気に大会覇者
何かの大会に出たら必ず表彰される
だから男子にも人気があって……助っ人の依頼が溜まってるってクラスの……誰だっけ?……清瀬くんだっけ?……が言ってた気がする
『オシャレも分からないダサ男だと思うよ?心配はいらないでしょ』
晴くんは肩をすぼめて、馬鹿にしたように鼻で笑った
まぁ確かに秀才って言われてる位だから…分厚い眼鏡をかけた七三分けの男の人がイメージで出てくるけど……
『それもそう…だな』
あ…、納得しちゃうんだ
まぁ…ややこしくならないなら何でもいいや
『じゃあ……行ってくるね?多分すぐ帰ってくると思うから』
『すぐだからな?』
要が念入りに口を開く
私は「ハイハイ」と適当に返事をして持っていた靴を地面に置く
『じゃあ実加子ちゃん、また家でね』
『うん、じゃあ後で』
私は靴を履いて2人に別れをつげた
いけない……かなりの時間ロスだ……
要と晴くんに会わなければこんな事にはならなかったのに……
私は出そうになるため息を寸前で止める
ため息を漏らしてる場合じゃない……早く行かないと…!
私は秀才くんの家へ向かっていた足を速めた