恋しても良いですか?
【4】無いモノねだり。



2日後……早朝からの仕事を終えて、美希さんに学校まで車で送ってもらって遅れて登校した。


「…ありがとう、美希さん。」
「李緒……気をつけてね?」
お礼を言った私に少し心配そうに美希さんはそう言った。

「……うん。
じゃあ行ってきます。」
「行ってらっしゃい。」
美希さんのその言葉を背に私は学校の敷地内に入って、校舎に歩いて行った。


そのまま職員室には寄らずに教室に向かい、気配を消して中に入った。


ちょうど自習の時間なのか授業時間にも関わらず先生は居なくて、教室の中は休み時間同様に騒がしかった。


「あっ、碧井さん。
おはよう!!」
そして、当たり前のように南郷は私に気づいて挨拶して来た。

でも、私はそれに答える事無く、ずっと窓の外を見ていた。




すると、同じクラスの女子の集団の会話が自棄に耳に入ってきた。


「あぁー、歳はとりたくないよね。」
「まじで。
私たまに死にたくなるもん。」
「また、男に浮気されたの?」
「うん。てか、私結婚出来ない気がする。」
始めに話し始めたこの話はスルーで、2人目と3人目は男絡みの話をしていた。

「てか、2人共話しスルーすんなよ。
私、マジ死ぬよ?」
「馬鹿。
あんたより私の方が死にてぇよ。」
そんな事を軽く言いつつ、その子達は笑っていた。



そんな簡単に死ぬとか言ってるその子達の話をもう聞きたくなくて、私は誰にも気づかれないように教室から出て屋上に向かった。




どうしてそんな簡単に死ぬなんて言えるんだろう。
あなた達はこれからいくらだってやれるじゃない。

いっぱいいっぱい時間があるじゃない。


結婚だって、赤ちゃんを産む事だって出来るし、夢だっていくらだって叶える事が出来るじゃない。


欲張りだよ……。




どうしようもない嫉妬心で泣きそうになった。

もう自分にはそんな他人を羨んだりする事はないと思ってたけど…やっぱりどんなに消そうと思っても、感情を無くす事なんて出来ないんだね……。




「碧井さん?」
そんな時、後ろから名前を呼ばれた。

振り返らなくても分かる。




南郷だ。




私は溢れそうな涙を流さないように引っ込めて、ゆっくりと南郷の方を向いた。







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