わたしはね、ママを選んで産まれて来たの。 −上−


1時間目から、
関田くんとの机は離れたまま。


何度も先生に注意されたけど、
わたしから近付けようとは
全く思えなかったし、
机の距離なんてもう
どうでもよくなってしまった。




給食の時間。

同じ班の子が、
綺麗に机を並べてくれたけど、
わたしの机だけは、
関田くんの手で、
少し遠ざけられた。


それでも別に良かった。


後ろの席の愛ちゃんは、
家も近くて、幼稚園も一緒だった、
所謂幼なじみだったし、
給食になると席が隣になるから、
普通に話せるし、
別に関田くんだけに嫌われたのなら、
わたしはそれでも良かった。





ただ。
わたしのこの考えは甘かった。





掃除の時間。

給食のときと同じ、
班のメンバーが誰も居ない。

ふと、窓から外を見ると、
メンバー全員が、
鬼ごっこをして遊んでいた。



(なん、で…?)

(…誰も助けてくれない、の?)

(もう、わたしの味方は…いない?)



もう泣き崩れそうだった。




わたしの班の掃除場所は、
この教室。

教室は一番時間がかかる為、
ふたつの班で協力するのだが、
そのもうひとつの班のメンバー全員も
わたしの班のメンバーと、
関田くんたちと一緒に、
鬼ごっこをしてるから困った。




とにかく。
大好きな石川先生に
こんな最悪な状態がバレるのがどうしても嫌だった。



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