Nostalgicな祭りのあとで
何にもない町
父親がリストラされた数日後、ダイニングに残されていた一枚の紙切れ。

離婚届けにサインして、母親は姿を消した。

幸せだった日高家は、いとも簡単に崩壊した。

田舎に身を寄せて1ヶ月。
小学5年生の日高 陸は、この町が大嫌いだった。

都会の街に未練があるわけではない。
ここがあまりにも何にもない町だからだ。

コンビニ・・はある。
けど、24時間営業ではない。
長閑な風景。
点在する農地。
テレビをつければ、民放はたったの2局。

ホントに、何にもない。

風がざわざわと道を撫でた。

今日も土と緑の匂いが濃い。
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