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きっかけは一枚の葉書。




私は悩んでいた。

今、私の目の前にあるのは、一枚の葉書。
何の変哲もない、ただの往復葉書。
もちろん、悩ましいのはその姿形ではなく、その内容。

「うーん、どうしたものか」

郵便受けから回収して、ポイッと置いておいたのは昨日のこと。
仕事が休みな今日、一息入れようとテーブルについて、思い出したように郵便物を広げてかれこれ10分。
そのうち、7分はこの葉書とにらめっこをしている、というわけだ。

悩ましいその内容とは『同窓会のお知らせ』だ。
今どき葉書でお知らせが来るなんて、中々に古風なものだと思うけれど。
割合中の良かった私たちのクラスでは、卒業時に自分達で卒業文集を作った。
そこに載せたのがみんなの住所、というわけだ。
メールアドレスや電話番号は変わる可能性があって、音信不通になってしまうこともあるだろうけれど。
高校時代の住所ならば、例えば地元を出てしまっていてもそれぞれの実家にいくので連絡がとれるだろう、という配慮。
とはいっても、やっぱり時代の流れは電子機器なわけで。
電話やメール以外にもSNSの発達によってやりとりされるのが主流。
仲の良かった友達なんかと集まるときは専ら、無料メッセージアプリでのグループトークだし。
つまり、その住所録が使われることは今回が初めてで、高校卒業以来初めてのクラス規模の同窓会、というわけだ。


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