偽りの人魚姫
6.たまには
中学に入りたての頃、俺は小学生がまだ抜けきれてないような子供だった。

一言で言うなら、パッとしない。

中学は校則が厳しかったから、見た目は、ただの少年。

当たり前だけど、金髪でもないし、ピアスもしていない。

ちなみに、ワックスも禁止だから、男子の髪型は皆、似たり寄ったりだ。

中には先生に反抗的で、金髪の人もワックスをしてる人もいたけど、俺にはそんな度胸がなかったから、その他大勢のうちの一人だった。

見た目も、勉強も、運動も、人並み程度だった俺は、よくも悪くも、目立たない少年で、自分でも悲しくなるくらい、パッとしなかった。

周りが部活動を決めていく中、特に特技も趣味もない俺は、どの部活に入ろうか決めかねて、なかなか入部届を出せずにいた。

そんな中、母の地区委員の手伝いで、地区コンサートの手伝いをすることになる。

クラッシクに興味のない俺は、なにかと言い訳をつけて、断ろうとしたが、暇がばれて強制的に会場に連れてかれた。

地区のホールで行われる、閲覧無料のコンサート。

来るのは、地区の老人と、コンサートにでる子供の保護者くらい。

あとは、音楽教室の先生かなんかか。

誰にしろ、俺とはかけ離れた世界にいるやつらばっかりだった。

< 30 / 47 >

この作品をシェア

pagetop