愛、シテあげる。番外編
「これをコピーしておいて」

「はい、社長」


「会議の資料はできてるかい?」


「はい、社長」


「取引先との打ち合わせは?」


「はい、明日19時に予定しております」


「わかった。ありがとう」





――慌ただしい毎日。

ゆっくりご飯を食べることもできない忙しさに、思わず溜め息が漏れた。


仕事が苦痛という訳ではないし、むしろ社長というのはやりがいがあって日々充実している。
だが、ここのところ1年近く、ずっと休み無しなのだ。



心に溜まりに溜まった『疲れた』という言葉が、つい口からこぼれそうになってしまう。

でも、弱音は吐けない。



広い社長室を見渡し、深く溜め息をついた。




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