市立第五中学校。

14番 寺門桃菜

愛人


晴日に隠してた
ごめん

実は私も


好きなの。



私は理科の小池先生と
付き合ってる

小池先生は35歳
ワイルドでイケメンで

既婚者
左手の指輪がよく目立つ

悪いことだとわかっているけど
気にしない
気にしたくない

私が思いを伝えたら
すぐに受け止めてくれた
デートもしたし色んなことした

先生は本当に
私のこと好きなのかな
遊びなのかな

私も元々遊びだった。


―今年の春

理科係の私は
理科室に提出物を届けに行った

そしたら小池先生が座ってて
「待ってたよ」って

その時は好きじゃなかったし
ちょっと気持ち悪いなって
思ってたんだけど

先生が私の腰とか太股とか触ってくるうちに
だんだん快感になってきて


好きって嘘ついた。

そしたら先生も好きだよって



理科室に行くのが
習慣になっちゃった

大好きになっちゃった


どうすればいい?晴日


「…桃菜が本当に好きなら文句は言わないよ」

放課後の教室
今日は理科室に行かなかった

「本当に好き」

「…向こうは?」

「…わかんない」

昨日、駅で先生を見かけた
奥さんと息子さんが隣にいた
楽しそうに笑っていた

もう限界なのかな…



―「寺門いるか?」

ドアを開けたのは先生だった。

「小池先生…」

晴日は嫌味っぽく
「桃菜に何か用ですか?」

「理科室の掃除をして欲しくて…」

掃除なんてとっくに掃除係が終わらせてる。
私が今日来なかったから…

「一緒にしてくれるよな?桃菜」

突然名前を呼ばれて驚く
背中に嫌な汗が流れた。

「…はい」

「桃菜!?」

私は晴日の耳元に近づいて
「話、つけてくるから」
と囁いた。


< 14 / 23 >

この作品をシェア

pagetop