市立第五中学校。

2番 有岡章二

問題


最悪だ
95点

僕にとって100点未満は点数じゃない。

しかも度忘れした問題がひとつあったし

家に帰って確認したら
とても簡単な問題だった。


「うわ有岡95!?すげー」

佐藤という馬鹿が、僕の答案をみんなに見せびらかした

すぐに奪い返し
「こんなの凄くも何ともないよ」

すると佐藤は目を丸くして
「はあ!?充分じゃねーか」

「僕は100点じゃないと気が済まないんだよ。佐藤とは違う」

佐藤は28点でも泣いて喜んだ
30点をとると先生に褒められていた

「1問くらい平気だって」

佐藤の無責任な言葉に
僕は頭にきた。

―だから馬鹿は嫌いだ

礼儀もプライドもない
空気も漢字も読めない。

どうにかなると勝手に思っている。

「なあ、テストも終わったし遊び行こうぜ!」

誰が行くもんか。
僕は家に帰って復習しなきゃならないんだ。


「…有岡?そんなこと気にすんなよ」

―ソンナコト?

「ふざけるな」



教室が静かになった。
皆の視線が僕に当たる。

「もう話し掛けないでくれ」

佐藤はまるで捨てられた小犬のような目をして
「…ごめん」

と呟いた。




家に帰り僕は後悔した
後悔はよくある。

しかし絶望感というものは味わったことがない。

たった一人の、本当の友達。
謝りに行こう


僕は今まで完璧だと思ってたけど
ひとつ欠けていたらしい。

あのテストの答案みたいだ。


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