市立第五中学校。

8番 木之下樹里菜

親友


私と汐浬は
世界一と言ってもいいくらい
仲のよい親友です

1年の時から
いつも一緒だった
クラスが同じになった時は
泣いて喜んだ

でも
西田を助けたあの日
私は大切な親友を失う
私の責任で…


黙っていればよかった。
皆みたいに見て見ぬふりをしておけばよかった

―いじめという恐怖の怪物が
私に襲い掛かってくる

毎日が怖かった

汐浬を巻き込みたくないから
話し掛けられても無視をした
泣いている汐浬を見て見ぬふりをした

西田は表情一つ変えずに
まるで汚い物を見るかのように
ボロボロになった私を眺める

あんたなんかのために
私は

ワタシハ…


―死にたいと思った
でも私が死んでも
西田や笹河は後悔するだろうか
むしろ嘲笑うだろう
「何だつまんないの」って

…汐里は?



そして数日が経った
笹河はカッターを渡し
私に死ねと脅した

急に死ぬのが怖くなった

リストカットは慣れてるし
死なないことはわかってる

でも笹河は
大量出血で私を殺すつもりだ

許せない
…許さない

その時だった

「馬鹿じゃないの!?」

汐浬は私を
こんな醜い私を
救ってくれた

私の細くなった腕を
強引だけど優しく引っ張った
そして光をくれた


―汐里


ごめんね、汐里

ありがとう、汐里


もう大丈夫だよ

大好きだよ

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