王様の、言うとおり



先に肝試しを終えた生徒から始めてるみたい。

花火……と言えば絵美ちゃん。

恐怖ですっかり忘れていたけれど、いよいよなんだ。

なんとも言えないこの気持ち。




「お疲れー。紙出して。」

旅館の敷地の入口。



簡易テーブルに座った呑気な先生の声。


キングがすべての紙を渡してそれを確認していく。




「よし。クリア。手だして。」



言われるがまま、差し出す手。


……結ばれていたのが解かれていき、完全に解放されて自由になった瞬間。




短時間の間で触れていた事に慣れていたみたいでなんだかすごく寂しくなってしまいました。

その気持ちに、違和感。

キングが好きでも何でも無い、のに。



「花火取ってやれー、終わったら各自部屋で就寝準備。消灯前に点呼。」



何度も言って面倒くさそうにつらつらと言われた説明を半ば流しながらカゴの中に詰められている花火のセットを手に取る。

「菜月!」




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