王様の、言うとおり
言える、わけがない。
もう気温は下がってきてるはずなのに、私の体は熱くなっていきます。
それに、キング。
にやにやしてるってことは。
「分かってて聞いてる?」
『何が?』
絶対わかってる。
キングが分かんないはずがないもん。
なおさら、なおさら言えない、いいたくない。
『菜月。』
ふわ、と。
砂で遊んでいた指をキングに絡め取られました。
キングの指にも砂がついてる。
弾かれたように顔を上げれば、真剣に私を見つめるキングに、トクン、と胸が高鳴ります。
おかしい。
こんな事いままで無かったのに。
『…菜月。』