王様の、言うとおり




何でも良いかもしれないけれど、お祭りと言えば浴衣。

でもその浴衣を持っていない(持ってるけど丈が短くなってしまい着れない)私は少しでもお祭りらしい服を着たかった。



どれを着ようか着てみては変じゃないか、こっちの方が良いかな、なんてまた脱いで、また着て。







そうこうしているうちに気付けばキングに朝言われた時間になってしまい。




「……用意できた?」

ドアを開けた瞬間に言われた言葉に首を左右に振って時間通り家に来たキングを取り敢えず家に入れて待って貰うこと30分。




やっと用意出来た頃にはキングはかなりの不機嫌になってました。




……結局キングの服装に合わせた形になってしまったけど。




でも時間通りに来た時に有無を言わさず「行くぞ。」ではなく

「用意できた?」と聞いてきたことはやっぱりキングも少なからず私がまだ用意できていないことが予想できていたのだと思います。

それにしても待たせすぎてしまいました。

――そして今。

この不機嫌オーラに包まれた状態でお祭りを楽しむ事ができるのかどうか、とても不安です。

少しでも誰か知ってる人に私だとバレないようにと思って被った帽子は、



家を出る直前に「似合わん。」とキングに奪われ廊下に投げ捨てられました。




拾う暇も無く玄関から引っ張り出されドアを閉められてシャットアウト。




これはまずい。


「これではぐれた、とか冗談止めてね?」




大通りを同じ方向に歩いていく人達が目に入ると、キングから忠告です。




それもまずい。

これ以上キングに迷惑をかければ明日から何が待ってるか……。




『ぜ、全力で付いていきます。』
 


「そーして。」



何があっても見失うもんか。






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