白銀の女神 紅の王Ⅱ




国王書斎―――――


紙をめくる音だけが響く室内。

数時間前からこの状態が続いていたが、一つのため息とともにそれは終わった。

ドサッと紙の束を机に置き、天を仰ぐ。




「何の手がかりもつかめなかったか…」


長時間酷使していた目を抑え、ただ一言そう呟く。

呟いた言葉に同じく書斎で仕事をしていた側近も手を止め、こちらに声をかける。




「ギルティスのことですか?」

「あぁ…あれ以来、向こうの動きがない。静かすぎるくらいだ。」


察しのいいウィルとの会話は必要最低限の言葉だけでなされる。

何の前触れもなく始まった会話が続く。





「デュークの話でも、国境付近にギルティス兵の影はないと言いますし、諦めたんでしょうか。」

「いや…そうは考えにくい。ギルティスは必ずこの国に牙を向いてくる。」



イースト地区での視察の時にもギルティスの気配はなく、フォレスト派の残党を捕らえるだけで終わった。

しかも、その残党たちもただの下っ端で、フォレストとギルティスの繋がりについて詳しく知る者はいなかった。

何もフォレストがギルティスと手を組んで何をしようとしていたかを知りたいわけではない。

フォレストは自分がギルティスを利用しようと企んでいたようだが、実際に利用されていたのは奴の方だ。

バカなフォレストを裏で操っていたのはどんな奴か。



そして、そいつの目的は……



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