四十階段物語
「何でこんなところにいるんだ?60年前からずっと此処に?」
「ああ・・・君は私が犯した罪を知らないんだな・・・」
付け足して、当たり前か、と苦笑した。
「私は隠れた。逃げた。だれにも見つからないように、自分が完全に罪を忘れ去るまで、此処にいたかった・・・」
「あなたは何をしたんです?」
「たかが10歳の坊ちゃんにはわかるまい。汚い大人の考えることさ・・・」
乾いた笑いが壁に反響して、響く。
60年前の校長の笑みは、生徒に人気のありそうな優しい顔だった。