いぢわる兄は同級生







雅があたしを心配している訳は。



実は昨日、結衣ちゃんから逃げてきたあたしはあのまま合宿所の部屋に戻って寝込んでしまったからだ。





「ごめんね、昨日あたしがびっくりさせちゃったから‥‥」



落ち込んだようにそう言った雅は、昨日割れたお皿を触ってケガしたあたしの指を見る。




いつも強気な雅がめずらしくシュンとしていて、なんだか気持ちがむずがゆい。





「雅は悪くないって、謝んないでよ。た、確かにびっくりしたけど‥‥ケガしたのはあたしの不注意だし」



「ううん、原因をつくったのは結果あたしなんだし。本当にごめんね」



「や‥‥やめてよ。なんか雅がそんなこと言うなんて、鳥肌が‥‥」



「それどういう意味?」



「うーん‥‥‥」



「てゆうか、だいたい栄介があんなところでキスしたいなんて言うから‥‥っ」



両腕をかばうように身を丸めるあたしと、プリプリと怒りながらあたしを見る雅。






「「‥‥ぷっ、あはははっ!」」








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