きっかけ、クリスマス。
ただそれだけ。
逢いたくて、走った。
幸せな街並みを、今なら落ち着いて見ることが出来る。
温かさは、こんなにすぐ傍にあるものだから。
本当は仕事が残っていた。
そんなこと、知らない。
"家でやります!"
そう全ての書類を持ち帰ろうとした俺に、みんな渋い表情を浮かべたけれど、一人だけ味方をしてくれたのは社長だった。
"帰ってもいいぞ"
普段お堅い社長が見せた、あの笑顔と優しい口調を、俺は一生忘れない。