きっかけ、クリスマス。
そんなクリスマスに、なぜか俺は全力疾走している。

苛々もするだろ?
と心の中で言い訳をしてひたすら走った。

12月も終わりの寒空の下、額に軽く汗が滲む。

さっきプレゼントを買った店でもらったカードを鞄のポケットに突っ込んだ。

書類がたくさん入った重みがうっとうしい。これがなければもっと速く走れるのに、と鞄を腕に抱え直す。

信号待ちに仕方なく立ち止まると、隣にいることさら幸せそうな家族を眺める。

柔らかいその雰囲気に
温かさが伝わって来て、焦る。

信号が青になった瞬間に俺は前に来る人を掻き分けるようにして走った。

急がないと、
せめて今日だけは。
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