自己中彼氏
「俺のこと、憎い?」





また春人が言う。




はたから見たら、この光景はおかしいだろう。
でも、春人の顔は真剣で、私も結構真剣。






春人の真剣な眼差しがとても迫力ある。





「憎い……のかな?」





「かな?って、はっきりと!」





「憎い!!でも……」





「でも?」




「どこがどう憎いのか、わからないの。春人のことは大好きだし、カッコイイって思ってる。でも、でもね。なんかカッコイイとは違うの」





「俺はそれでいい」




「え?」




「なんか、カッコイイからとか、可愛いからとか、そんなんよりなんかもっとこう……大きい感じすんじゃん?由香の中では特別みたいな??」





そう言って春人は、ニカッと笑った。

私、春人のこういうとこが憎いのかも。




「でも春人さっき、私のことを可愛くて憎いって言ったよね?それって特別じゃないってこと??」




「あ、いや。ちがっ……」





私は春人の唇に自分の唇を重ねた。




「うそ。嬉しいよ……春人」





自己中で、無理矢理で……大胆なとこがあるけど、それが“春人”。


全部で春人、だよ。



憎い、憎い、私の彼氏。




< 158 / 203 >

この作品をシェア

pagetop