自己中彼氏
―由香side―



春人にキスをされ、あたしの緊張は解けた。


これは、“嬉しさ”じゃなくて、

“愛しさ”なんだ。

そう気づいたんだ。



そっと唇が離れ、外に出る。



みんなの祝福の声。


「おめでとぉ!」


「お幸せにっ!!」





お父さんは、泣いていた。

必死に堪えているみたいだけど、もう涙は頬を伝っていた。


お母さんと一緒に泣いているお父さん。



ありがとね。


あたしをここまで育ててくれたお父さん。



今まで、あたしの前で泣かなかったお父さん。


そのお父さんが、今泣いている。

あたしの結婚式で、泣いている。


そんな顔で泣かれると、あたしも……


「お父さん……」


小さく、小さく、でもお父さんに聞こえるぐらいの声で囁いた。



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