モノクローム
混乱
お腹空いた…



乱雑に引かれたカーテンが、2人の険悪さを物語っている。
月明かりは線と呼ぶには程遠く、床をぼかしてるだけだった。

私は欲求を忘れる為、目を閉じた。
酷く疲れている筈なのに、体は私に構わず鳴き声を上げる。
朝から何も口にしてないのだから、当たり前の事なのだが、改めて人間とは正直な生き物だと感じた。


腹が減っては戦は出来ぬ。そう言ったのは誰だっけ?
そんな事を考えながら、何とか体を起こして鞄を手繰り寄せる。
鞄の脇にぶら下げた小さな財布に、飴があるのを思い出したからだ。

いつの物かは分からないが、まだまだ食べれそうな飴が1つだけ残っていた。


助かった。


とてもお腹は空いてるのに、飴1つを口に含むだけで満たされた。
私は口内でそれを丁寧に溶かしながら、暫くぼんやりする。

何も無い部屋だ。そう思った。
用意した箱に、はめ込まれた家具。
どれもが綺麗に整頓され、組み立てられたジオラマみたいだった。

必要以外の物は何も無い、そう言ったほうが正しいだろうか…
それでも、私には十分に贅沢な物に映った。

全てモノトーンで統一をし、新品同様で仕上げられた部屋は異様な冷たさを醸し出している。
きっと、それは主の性格に似ているのかもしれない。

私は羨ましい反面、何となく悲しくなった。
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