恋華(れんげ)
「…ってワケじゃねぇけど、このゲームだけはトクベツ」

「トクベツ?」

「俺さ、実はこのゲーム、小学生の頃、スッゲェ欲しくてさ」

「え?そんな昔のゲームなの?」

「あぁ。でも小学生のこづかいじゃ、簡単に買えるような代物じゃなくて……。しばらくして、やっとカネがたまったから喜んで買いに行ったんだけど…」

「売り切れてた」

「そう、そのとおりさ。慌ててすぐに何件もゲーム屋とかおもちゃ屋とかを探し回ってみたんだけど、もうどこにも売ってなくて、ホント“くそったれ”って感じでさ」

「そーいうことか。入札してあげるのはいいけど、古いゲームだとプレミアとかついて、けっこー高い値段になってんじゃないの?」

「いや。現在の価格は500円だってさ」

「なに、それ。全然値打ちないんじゃん」


そのゲームの説明のところを読んでみると、こう書いてある。

『外箱、説明書はありません。ゲーム本体のみの現状渡しとなります。ノークレーム&ノーリターンでお願いします』

しかも写真を見てみると、いかにも中古っていうか使用感あり過ぎって感じ。
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