世界が終わる前に


それからは…――由紀ちゃんが何を言ってるのか、由紀ちゃんと何を話していたのか、もうよくわからなかった。


聞きくなかったかっただけなのかもしれない。


もうそれ以上、彼の事を聞きたくなくて、私は耳を塞いでしまったのかもしれない。



不思議と彼を怖いとは、思わなかった。

同時にそれを聞いたからといって、悲しくもなかった。



私を支配したのは、張り裂けるような胸の苦しさと寂しさ。


それは、お兄ちゃんに対する感情と似ていた。


もしかしたら似てるんじゃなくて、彼を自然とお兄ちゃんと重ね合わせていたのかもしれない。




だから、きっと私は――…






兄と同じように、


彼と私との世界が繋がれないという事が、


酷く寂しかったんだ。


< 119 / 202 >

この作品をシェア

pagetop