透明にんげん。
そこからは、もう、ただ凄かった。
複数の男を相手に、彼女は一人で立っていたのだ。
そして中にいた奴に笑って
「もう大丈夫よ。」
って言った。
そいつが走っていくのを彼女は最後まで見ていた。
そしてぐーっと体を伸ばして僕を通った。
………あぁ。
やっぱり気のせいか。
やっぱり、僕は透明だ。
見えない。
聞こえない。
触れない。
これは変わらないんだ。
僕は下を向いて、また橋の下へと帰って行った。