白緑蝶"Ice green butterfly
足早に道路を渡りきり
歩き出した私を、窓から
見つめる真澄の瞳。

その視線が私の背中に
突き刺さる。

足を止めた私は、振り返り
真澄に言う。

「マスミ
 
 さっきのこと

 お互い、忘れよう

 アンタとは、友達に・・・」

勢いよく閉まるドアの音が
私の声を掻き消す。

聞こえる。

駆けてくる真澄の足音。

真澄の姿が見える。

「来ないで」

「もう、遅せえよ」
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