白緑蝶"Ice green butterfly
花束は、床に落ち
空色のリボンは解ける。

その花束を拾おうとした
付き人に彼女は言う。

「拾わなくていい
 
 要らないわ」

「ケイトさん?」

彼女の右目からきれいな
涙が一粒、左目から二粒
零れ落ちた。

「ケイト、どうした?」

彼女に寄り添う、ソラ。

「ケイトさん、急の撮影で
 思うように声が出なくて
 ・・・・・・」

「やめて、ソラに余計な事
 言わないで
 ソラの歌、歌えなくなる
 
 それだけは、絶対に
 嫌なの・・・」

その強い口調とは裏腹に
涙は止め処なく流れる。
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