おやゆび姫

「うざい、本っ当うざい。ママと比べないで」

あたしは、眼球が痛くなるまで目一杯、岳を睨んだ。

なにか言い返してくると思ったら

岳は、突然頬を緩ませた。

「ハハハ、プライド高いね。そこは、百花さんに似てる」

「大体、あんたはママの何?」

ママは女優だ。

16のときにあたしを生んで、今は32歳だ。

「俺はねぇ…百花さんを愛してるの」

岳は、それは嬉しそうに、愛おしそうに"愛してる"と言った。

こんなに、言葉に感情が篭るんだ。

あたしは圧倒されて

そして、その密度の濃い、嘘のない一言に聞き惚れた。


















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