AKIKO
彼女


そう亜希子さんだった


「あらあなたも休憩?」

気軽に声をかけたのは戸塚さんだった


なぜか周りに人が大勢いるにも


関わらずひどく緊張している


「うん…なんか体調悪くて
無理言って休ませてもらっちゃった」

浮かない顔をしている


自分はとても心配になったけど


どう声をかけたらいいのか


分からなく、そこに座ったまま


二人の方ばかり見ていた


「大丈夫ですか?」

やっと絞りだした言葉が

たったその一言

男としては情けない

そういう気持ちになった



「うんありがとう。少し休んでれば良くなるからさ」


少し男っぽい返答の仕方ではあったが


やっと正面向いて会話ができて


少し心の中でガッツボーズをした



「あっそういえば今度皆でバーベキューするんだけどあんたも来る?」

「ほらうちの旦那キャンプとか好きでさぁ何かと道具とかあるから」

自然な語り口で戸塚さんが切り出した


少し悩んでいたものの


亜希子さんは


「あんま人多いの苦手なんだけどなぁ~ どうしよう…そんなに多くない?」

「というか決まっているのはうちらだけだし…それでよければ、ねっ広樹!」


「あぁうん、少人数だと子供も一緒に見れるし、いいんじゃない?」


訳分からない返事をしてしまった


又悔やんだが


誘うのに必死になった


少しまんざらでもない顔になった


亜希子さんは


「じゃあいこうかな!」


一遍の光が射した瞬間だった


跳びはねたい気持ちだったが


またもや体の奥の方で


ピースを作った


…二人が本当の二人になる


2ヶ月前の出来事だった


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