Rose of blood
『ジオラさん、急がないとここももう崩れます』

『あぁ、そうだな』



カインはジオラさんの腕に大事そうに抱きかかえられた。



『調理場に使ってねぇ冷蔵庫置いてんの憶えてるか?』

「はい」

『その横に隠し通路があって外に出られるようになってる。馬屋に出る通路は通れなくなっちまってたからそこを使え』

「ジオラさんたちはどうするんですか!?」

『僕たちはまだここを離れることはできません。ローズさんは先に行ってください』



そんな……。


こんな私に最後まで笑顔を向けてくれるザック。


私はジオラさんやザックまで失いたくない。



『そんな顔しないで下さい。僕たちは必ず生き残ってみせます』

『あぁ、カインの奴もちゃんと弔ってやんねぇといけねぇしな』

「一緒に……ウェルヴィアへ行きましょう」






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