あたしの彼氏
いきなり東原くんが立ち止まる。
少し前を歩いていたから
大きく見えるその背中。
ゆっくりと振り向いた東原くんは
悲しいような視線をあたしに向けた。
『あんな女好きのせいで、
散々苦しめられたんだろ…?』
…苦しめられてる。
今までが頭に過ぎる。
…毎晩泣いてた日もあった。
…辛くて嫌いになろうって思った日もあった。
でも…………
『わざわざ苦しむことねぇんじゃねぇの?』
東原くんはあたしに近づいてくる。
あたしはとっさに後ずさる。
人が全然いないこの場所は、
静まりかえっててあたし達の声しか聞こえない。