ミナミの子。

高校入学

「よーい!始め」

フゥー。落着け~

夏休み毎日単語100個ずつは覚えたし

腰痛なるくらい勉強したし、次は大丈夫!

倍率だって一次の半分だし

っていうかコレ落ちたら相当ヤバいんですけど?!


わたしは只今某市立高校の一次試験に失敗し、同じ高校の二次試験をリベンジ受験している真っ最中なのだ。

落ちたらマズいっていうのはみんな同じだけど、わたしは特別もっとマズい。

何故なら家は貧乏だから私立に行くお金もなく、滑り止めなしの一本勝負に挑んだからだ。

今受けてるこの高校、結構特殊な学校で新聞に載っちゃうくらい倍率が高い人気学校なのだ。

先生には何度も

「滑り止め受けへんねやったら、もうワンランク下げた方がいいと思うぞ~。一本ではギリギリやし、もしここ落ちたら定員割れのS高校になってまうぞ」

それは自分が一番分かっていた。
模試での判定も奇跡のB判定を一度取ったきり。

脳みそは中の中で、至って普通だけどS高校には行けない。
何よりわたしはどうしてもあの学校に行きたかった。

わたしの目指すその高校は

公立で稀にあるデザイン系の専門的な勉強ができる学校で、6学科から成る。
その1学科に映像全般を専門とする学科がある。
専門学校に負けないくらい設備も整っていて、しかも公立ってところが一番の魅力だった。

その時のわたしは物凄くやる気に満ち溢れていた。

普通の高校に行って、中学の時と同じ様な勉強をするなんて勿体ない!
なんて考えていた。



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