マイベイビー&ハピネス☆

――という、幻が見えた。

4人のケリやパンチがひっきりなしに続く。

そろそろ、意識がヤバい……。

口の中はすでに血だらけ。

ジャリジャリするのは……歯でも欠けたか。

――攻撃をよけるな。ガードもするな。

そう、コータが命令した。

だから俺は、ただひたすら攻撃が急所に当たらないよう体を動かしていた。



が、それももう限界。

体が動かなくなってきた。

薄い暗がりの向こうで、ヒカルが泣いてるのがおぼろげに見える。

ごめん、ヒカル。俺のせいで、こんなことに巻き込んで……。

大翔は、チンピラに抱かれている。

まだ笑っているだろうか。

それとも泣いてる?よく分からない……。

泣いてないでくれよ大翔……。

泣いてもここには――


硬い拳が頬に当たり、俺はズルズルと崩れ落ちた。

泣いてもここには――



「なんだ?もう終わりか!?」

「つまんねぇな!!」


嘲笑とともに、腹に鋭い一撃。

――泣いてもここには、ミルクも、オムツも、

――ないん、だ、か、ら、な……。

そうして、意識は、

再び深い闇に閉ざされた――。
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