夏の事。
カツカツカツカツ…。


少し高いヒールに、アスファルの地面が鳴る。

あかりは正味一時間ほど、泣きながら都会の街を歩いた。

「ねーねー、なんで泣いてるの?
俺らと一緒に遊んだら、きっと楽しいよ?」

なんて言う同い年くらいの男達に声をかけられても無視をし。

ドンッ!!

ふいにぶつかった仕事帰りらしきサラリーマンにも「すみません」と謝りもせず、「チッ」と言う舌打ちを聞きながら。

夜の街をひたすら歩いていると、何だか涙が引いてきた。


(なんでなんでなんで?!)

具合悪くて、妊娠したかもしれないって言ってるのに、なんであんなにヤろうヤろうばっかり言ってくるんだろう。


(…結婚したいっていってくれたのに……)


また、ポロッと涙が出そうになる。
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