夏の事。
世界が、真っ黒だ。


手を当て、話し掛けると、ピョコピョコ反応するように感じる、お腹の中の子どもに、そう話し掛けた。

一番信じてた親友が
「消えちゃえ」
って。


……周りに誰もいないし
誰も私に応えようとしてくれない。

どうせ言えない
どうせ産んであげられない…

私と一緒にいて、この子が幸せになるわけがない。

目から涙がポロポロ出るけど、不思議に嗚咽が上がらない。

下腹部の子どもはそんな時にも

ピョコピョコ

「ここにいるよ…

助けるよ…

大丈夫だよ…」

そう答えてくれてるようだけど。


「ごめんね…」


そう呟き

屋上のフェンスを超え、塀に乗った。

下腹部にいる子どもは
ピョコピョコピョコ…
いつもより激しく動き、あかりを止めてくれてるかのようだった。



しかし………

下腹部の子どもの制止も聞かず


……ドンッ………。


体に何か衝撃を受け
あかりは闇に堕ちた……--。



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