俺様彼氏と清純彼女~夢のおくりもの~
「紅い糸みたいなもの?」

「そう、結局、その女性とは一緒にはなれなかったよ」

「ふうん…」

「まぁ、もし、その子と結婚してたら桃子はこの世に居なかったかも知れないね」

私は、お父さんの話を聞いて、実感した。出会いと言うのは、本当に、奇跡が重なって起こる物だと言う事も。そして命の営みも同じ、色々な奇跡が重なり合って産まれる物だと言う事が。

「なぁに、何、ひそひそ話、してるの?」

キッチンからお母さんが戻ってきた。

「いや、なんでも無いよ」

「なんでも無いなら、私にも聞かせてくれるんでしょ?」

お母さんは全てお見通しだと言う表情で、お父さんに詰め寄った。

「いや、その…」

お父さんはお母さんに本当に弱い。

でも、幸せそうな表情は、娘の私が少し嫉妬する位のだ。

私は、まるで、コントみたいな父さんとお母さんのやり取りを聞いて、尚哉と何時か、こう言う関係になれれば良いと、心の底から思った。
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