おしえてください、先生。

今まで苦手だった男の子たちとは違うタイプだって、もうわかってるから……不安だけど、今日の授業も頑張ろう。

そう決意して、私はまた窓の外を見つめた。

相変わらず空はどんよりと曇っていた。





放課後、家に帰ると雄悟先生はもう来ていた。



「ごめんなさい、遅くなって」

「いいから。気にすんな」



雄悟先生が初日に急がなくて良いって言ってくれたから、私は混んでいるバスや電車を避けている。

こんな風に雄悟先生が先に来ているのは2回目で、私が遅れてきても先生は決して怒ったりしない。

リビングにいた雄悟先生と自分の部屋に行こうとすると、お母さんに声をかけられた。



「南、お母さん今から仕事だから。夜ご飯はこれ温めてね。雄悟くんも」

「ありがとうございます」



家庭教師に来てくれる日、雄悟先生はたいていご飯をうちで食べていく。

だからそれは驚かないんだけど……。
< 20 / 154 >

この作品をシェア

pagetop