おしえてください、先生。
いつものバス停で降りる。
バスの中でも繋いでいた手はそのまま、マンションに向かって歩き出す。
雄悟先生は何も言わない。
だけど、何か言わなきゃ……。
どうしてキスしたのか、ちゃんときかなきゃ……。
じゃないと私……どんどん苦しくなる……。
先生のことが、好きだから。
この気持ちを終わらせるなら、今しかない。
「あ、あのっ」
「…………」
「先生っ」
「…………」
雄悟先生は何も答えない。
どうしよう……。でも、このままでいいの……?
「先生は……お母さんのことが、好きなんですよね……?」
「……え、はあ?!」
「お母さんのことが好きなのに、どうして……どうして」
私にキスしたんですか……?
音にした声は、とても小さかった。
「おしえてください、先生……」