性別≠不一致

千秋の顔が近付き、パンチではなく頭突きだと理解する。


どっちでもいいや。出来れば痛くしないでください千秋さん。


「ッ!?」


言葉にならない声を上げ、たまらず俺は目を開く。


ありえない現実を見つめるかのように開いた瞳は、そのありえない現実をしっかりと映して俺の脳に刻み込まれた。


なんで……。


なんで千秋とキスしてんのー!?


それはほんの一瞬の出来事。一秒にも満たない出来事かもしれない。


キスをして千秋の顔が離れていく時間は、俺にとっては何十分にもかけて行われているような錯覚に陥る。


カァッと顔が熱くなって、非常に情けないことにオロオロと視線が泳ぐ。


なんてうぶな反応だ。俺超きめぇ。


動揺する俺に対し千秋は至って冷静で、口元に不敵な笑みを浮かべながら、胸倉を掴んでいた手を解き、そっと押し戻した。
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