この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐
なんだ、あそこが空いてるじゃないか。


「おい美代。あそこにしよう」


進もうとする俺の背後で美代は足を止めた。


「え?でもあそこはサニーワンだよ?」


サニーワン??


「美代はサニーワンが嫌いなのか?」


俺は美代を振り返る。


「え?いや、サニーワン自体は大好きだよ?」


「じゃあ問題ない」


米が食えなくても、クソ長い列を無駄に並ぶよりはずっと良い。


俺は美代の手を掴むと歩きだした。


「あ…」


そんな俺に手をひかれて美代は大人しくついてきた。











「いらっしゃいませ」


サニーワンの前までくるとカウンターで店員が笑顔を見せた。


その下のガラスのショーケースには無数のアイスクリームが陳列されている。


あぁ、ここはアイスクリーム屋だったのか。


「マサルさん、本当にお昼ここでいいの?」


美代は俺の顔を伺った。


美代の躊躇った意味がようやくわかった。


だけど…


「そうだな…まぁ、とりあえず腹が満たされれば良いかな」


並ぶよりは。



「そ?じゃあここにしよっか♪」


そして俺と美代は色とりどりのアイスクリームを選び始めた。


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