この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐

本当の姿

―――翌日



美代は昼前からボランティアのサークルへ出掛けていった。


その間、特にやることのない俺はいそいそと部屋の掃除に勤しんでいた。


春から美代が掃除を怠けて床や棚の上に溜め続けていた埃たち。


それらを綺麗に取り除き、雑巾で丁寧に拭いていく。


「ふぅ」


俺は一息つくと室内を見渡した。


埃がなくなったことにより家具は本来の鮮やかな色を取り戻している。


自分で言うのもなんだけど


「俺って凄くないか…?」


俺は綺麗になった部屋を見ながら晴れやかな気分に浸っていた。


しかも

うさぎの頃とは違い、思い通りの完璧な掃除が出来るのもまた気持ちが良かった。


かつて、あんなに苦労した雑巾を絞る動作ひとつについても


今はこんなにスムーズにできるのだ。


「よし。仕上げるか」


掃除を再開すべく雑巾をかたく絞っている時


ふとベランダから聞き慣れた声がした。


『マサル氏、精が出るっポね~』



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